COMMEMORATIVE TALK

第73回日本消化器外科学会総会 記念企画
理事長鼎談

理事長鼎談

2006年 理事長制導入

瀬戸
さて,ここから各先生方に少し御意見をいただきたいと思います.2006年に本学会は理事長制を導入いたしました.その初代理事長が北野正剛先生ということになりますが,先生,この理事長制導入の意図をお話いただけますか.
北野
皆様御承知のように,時代は変わってまいりました.その中で私たちも質が高い専門医を育成するというのが一番大きな目的だと思いますが,そのほか,この当時,国や他の学術団体,さらには国民の認知,法的な立場等々を含めて,やはり理事長制が必要ではないかということは2000年のちょっと前から議論されていたようでございます.そんな中において,御承知のように専門医の標榜科とかいろいろありましたから,まず法人格を取るということが最初にありました.2003年,多分愛甲孝会長のときになりましたし,それを含めて,総会のプログラム運営と同時に会務を統括するのは非常に難しいという時代になった,ということで理事長制が討議されて,2006年から理事長制になったと記憶しています.
瀬戸
ありがとうございます.若手からすると,理事長がいてもいなくても学会は余り変わらないのではないかと思われるかもしれませんが,理事長制を導入した後の変化とか何かそういったものはございますでしょうか.
北野
学会本体として他団体への影響,あるいは国とのいろいろな折衝,それから社会における立場等々がクリアになったと思いますし,それが総会の会長となかなか兼務できないという状況の中で,迅速に対応できたと思います.その意味では,この理事長制ができたことによって,その当時問題になりました福島県立医大の婦人科の医師が逮捕されたことに対する,裁判に対する影響のコメントとか,日本医師会のもとにある医学会はどういう立場なのかというような議論,さらにはもとの専門医認定制協議会(専認協)――私たちの学会は唯一,学会として専認協から被害を受けた学会でございます.というのは,唯一,専門医制度として専門医認定機構の理事長の名前で専門医証を一回出したのですが,その当時,厚労省が法人格がなければこれは出せないということになって,撤回して,また会長の名前で出したという経緯がございます.  そのようなことに対する対応,さらには私が理事長になって,時代の流れに応じまして,例えば医療環境検討委員会は塩﨑理事,医療安全検討は川崎理事,データベースは後藤満一理事等々,プログラム検討もその当時の安藤理事にしていただきました.そういうことがさまざまな影響の中で起こってきていて,その結果,例えばデータベース委員会は最終的にはNCDに移っていったということで,これは愛甲先生がデータベースをしっかりつくれと,理事会で非常に大きな声でおっしゃっていたものが実現していったということでございます.そのような経緯のことを皆さんの理解を得て進めるにあたっては,理事長制であったからこそこれが迅速に進んだと思っています.
瀬戸
ありがとうございます.理事長制の導入によって本学会の立ち位置が明確になったということと,いろいろな課題によりスムーズに対応できるようになったということだと思います.
理事長鼎談

2010年 Japan Digestive Disease Week参加

瀬戸
北野先生の理事長の時代は,今おっしゃられた以外にもいろいろな行事,企画に取り組まれておりまして,2010年からJDDW(Japan Digestive Disease Week)に参加し大家を行ったということがその中の1つ大きなトピックだと思います.JDDWに参加するということについてスライドがありまして,JDDW参加に関する意見伺いということで,北野先生がその当時の評議員にアンケートをとられているのですね.どういう結果であったかというと,回答率が66%で,そのうち約8割の先生方に賛同いただいたという結果を踏まえて,北野先生が決断されたと思うんですけれども,まずはJDDWに参加することになったいきさつをお話いただけますか.
北野
これは長い歴史がありまして,実は私どもは年に総会を2回していた時代がございました.もともと1968年から始まりまして,総会,さらに大会も1度行われたのですけれども,1999年までは年に2回行われていたということの中で,その当時の将来構想委員長の掛川暉夫先生が「2回もあるのはまずかろう,外科学会が4月にある,2月に消化器外科の総会があって同じ演題が出される.クオリティを保つためにはこれは年に1回にすべきではないか」とおっしゃり,議論がありました.その結果,2000年から2009年までは年に1回しか大きな集まりがなかったのですね.  そんな状況,時代の流れの中で,他領域,内科あるいは他の専門家とのクロストークの必要性が生じてきました.いろいろな治療法がある中で外科だけでは解決できない問題がある.ですから情報を共有して,患者さんのためにそういう勉強もして,そして国民の福祉に貢献すべきだという意見がある中,こういうアンケートをとらせていただいて,理事会で検討し,皆様に評価をいただいた結果,JDDWに大会の形で参加することになりました.もちろん当時,集まりを年1回にされた先生方の中には,2回が1回になったのに何でだという話がございました.私たちが説明したことは,総会を2回するのとは全く違う,他の領域とのクロストークを含める意味で同じものではないのだということです.全く異質のJDDW参加であるということを御理解いただいて,その結果,評議員の8割に賛成していただくという結果に至ったと思っています.
瀬戸
ありがとうございます.JDDWへの参加というのは,2回が1回になったのをまた2回に戻すようだということで,現場の先生方の負担感というのはかなりあったものと推測されます.ただ,今北野先生がおっしゃられたように,ほかの領域,内科とのクロストークであるとか,総会とは全く違う学会を目指すという方向性で皆さんの御賛同をいただいて今日に至っている,ということでございますけれども,現在のJDDWにおける消化器外科の大会というのは先生から見ていかがですか.
北野
やはり成功していると思います.先ほど負担感とおっしゃいましたが,実は日本消化器外科学会がJDDWに参加する以前から,外科医は2割の方が参加していたのですね.2割というのは,JDDW参加者の20%が消化器外科医でございました.その方たちが学会の参加もなく,スタンスもなくバックに何もなく参加しているという状況がございましたので,それも含めてやった結果,参加する会員の利益として他学会の学術集会に参加できて,消化器疾患に対する幅広い内科的知識を得る,さらには従来,先ほど言いましたように20%の人が外科医でございますので,その方たちの参加をしっかりさせる.例えば評議員の申請資格にもなるということ.そしてデメリットはほとんどないのですね.参加したい人は参加すればいい.工夫したことは,JDDWでは評議員会を開催しないので参加義務はないということでございますので,参加することの利益はたくさんあるのですが,参加することによってデメリットはないというような根拠によりまして,JDDWに参加することになったと理解しています.
瀬戸
我々も大会のあり方を時々議論しますし,JDDWという機構の中でなかなか動きづらい面があることも事実なので,総会と大会の差別化というのが一番大事なことだと思いますので,今の北野先生の御発言を踏まえて,今後JDDWの大会をいかに差別化していくかということを考えていかなければいけないかなとは思います.
北野
よろしいでしょうか.ありがとうございました.